「T0」「T1」って、製造業界以外の皆様には、まるでゲームの進化形態か呪文のように聞こえませんか?
かく言う私、神谷も、最初は「T0? T1? 何のこと?」と戸惑いました。
私は元々銀行マンで、製造業界には馴染みもなかったためです。
ところが、これらの用語を理解できるようになると、金型の試作から量産に至る一連の流れが一気に見通しやすくなるんです!
この記事では、「T0」「T1」の意味や役割を、私の駆け出し営業マンとしての実体験を交えながらご紹介します。製造業に興味がある学生さんや、新入社員のみなさんにも役立つよう、できるだけわかりやすくまとめました。
ぜひ最後までご覧ください!
第1章:T0との出会い 〜「え、それって呪文ですか?」〜
ある日、先輩が言いました。
「お前、これ次のT0までに準備しておけよ。T1になったら遅いからな。」
ポカーンですよね。「T0?T1?ゲームの新シリーズですか?」と思わず口走りそうになりました。
製造業って聞き慣れない専門用語が多い、と頭ではわかっていたものの、早くも直面した大きな壁でした。
T0は“初期チェック”のことだった!
先輩におそるおそる聞いてみると、T0とは「金型を試作して問題点をチェックする、最初の段階」とのこと。具体的には、こんなことをやるそうです。
設計ミスや不具合の洗い出し
CAD図面で描いた設計が、実際に物として成り立つかをチェック。
素材がうまく流れるか、成形できるか
溶けたプラスチックや金属が、金型の“ゲート”という入口からスムーズに流れるかを確認。
初期トラブルをつぶす
ここで見つかった問題を修正しておかないと、後で大きなコストやクレームにつながる。
元銀行員の私には、銀行でいう「仮審査」と同じだとイメージしやすかったです。
最初の審査で怪しい部分をしっかり取り除いておけば、本審査(後で出てくるT1)や実際の融資がスムーズになる。なるほど、これがT0なんだなと少し安心しました。
第2章:T1との再会 〜「やっぱり呪文……じゃなかった!」〜
「T0がわかったぞ!」と思ったのも束の間、すぐさま「T1」という言葉が飛び出してきます。先輩いわく、
「T1は量産手前の確認用試作だ。ここでOKが出ないと、お客さんからクレームだぞ!」
T1は“お披露目”のステージ
つまり、T0で問題点を洗い出して手直しした金型を使って、お客様に見せるための試作品を作るのがT1。これがOKならば、量産へ突き進めます。まさに「本審査」に近い感じですね。
ここでNGが出ると大ピンチ
もしT1で「やっぱりダメだ」となると、スケジュールもコストも大幅に狂います。
お客様と最終すり合わせ
色や形状、機能など、細かな要望を確認。量産仕様と同じ条件で実際に作ってみるので、お客様の期待度も高い工程です。
信頼構築のカギ
「この営業マン、ちゃんとT0・T1わかってるんだな」と思ってもらうのに大事なステージ。もしも、お客様に「T1って何でしょうか?」なんて聞き返してしまったらと思うと、かなり冷や汗をかきました……。
T1は「お客様が安心して量産へGOサインを出すための最終チェック」。新人営業マンでも、ここを押さえておくと提案の説得力がグッと増します。
第3章:専門用語は強力な“武器”になる
T0やT1以外にも、この業界にはカタカナ用語や略語がたくさんあります。CAD、ゲート、ショット、クリアランス……。最初はみんな頭がパンクしそうになりますよね。
ゲートって何?
金型の中で、溶けた金属やプラスチックが流れ込む“入口”部分のこと。水道の蛇口みたいなイメージで、ここが詰まるとうまく成形できません。
ショットとは?
成形を一回行うことを「1ショット」と呼ぶことが多いです。「この金型、もう何ショットくらい打ってる?」なんて会話が飛び交うのが製造業の現場。
覚えた用語は積極的に使おう
私が学んだのは、「知らないままにしない」こと。先輩やネット、社内ドキュメントを使ってどんどん調べ、実際の打ち合わせで勇気を出して使ってみると、早く自分のものにできます。「T0の段階でゲートの位置調整しておかないと、T1で詰まりますよね」なんて言えると、先輩たちから一目置かれるかも……?
第4章:エムエス製作所の得意分野と“T0・T1”の関係
実は、私が所属するエムエス製作所は、愛知県で車のウェザーストリップ(ゴム部品)用射出成形金型をメインに扱っています。最近ではゴルフクラブや馬具の製作にも挑戦し、新たな可能性を開拓中。
こうした新しい取り組みでも、T0とT1がめちゃくちゃ重要になってきます。
“エムエス・プロセッシング”で離型性をアップ
当社では、金型の表面を独自技術で処理する「エムエス・プロセッシング」を導入。ゴムやプラスチックが金型にくっつきにくくなるような表面処理を、岐阜大学と共同研究して開発しました。
クリーニングで表面の微細な汚れや欠損を除去
ピーニングでさらに表面を滑らかにし、離型性を向上
こうすることで、T0の段階でもトラブルが減り、T1での大きな修正リスクも下がります。
実際に「T1で不良が全然出ない!」と喜ばれたお客様も多いんですよ!
まとめ
T0は“初期チェック”
設計ミスや不具合を早期に発見し、後工程でのリスクを最小化する。
T1は“量産前のお披露目”
お客様に実際の試作品を見せてOKをもらう。本審査的なステージ。
専門用語は“武器”になる
最初は戸惑うけど、覚えて使いこなせば新入社員でも即戦力に。
製造業の世界は、まるで異国の言葉が飛び交うように感じるかもしれません。
でも一つひとつの言葉を理解し、現場で使うことで、お客様からの信頼度は格段にアップします。
製造業に興味がある学生さんや、新しく業界に飛び込んだ新人さん、ぜひ積極的に“専門用語”を味方にしてみてください。
