小さなトゲ、大きなトラブル。
「バリ取りって何をするの?」「面取りとの違いは?」「そもそもバリが出る原因は?」──製造業界に入ったばかりの新人ほど、最初にぶつかる壁が“バリ問題”です。小さなトゲのような“バリ”は、放置するとクレームや大量返品、さらには金型修理費の高騰まで招くやっかい者。
本記事は、そんな新人営業マンの実体験ストーリーを軸に、バリ取り・面取りの基礎からバリ 除去の最新手法、そして金型 修理による根本解決策までをやさしく解説する完全ガイドです。
読み終わる頃には、あなたも「バリ? もう怖くない!」と胸を張れるはず――さあ、ご一緒に“バリの旅”へ出発しましょう。
Episode 1|バリって何者!?
製造業に飛び込んで間もないある日、先輩が放ったひと言がすべての始まりでした。
「このバリ、やっかいだな〜。お客様に出せるレベルじゃないぞ」
……バリ? リゾート地の話? いや、現場は南国どころか金属のにおいが立ちこめる工場。頭の中にヤシの木が揺れたその瞬間、私は“バリ”という見えない敵と向き合うことになったのです。
現場で初めて見た“バリ”は、金型から成形された部品のフチにチクッと刺さりそうな小さな出っ張りでした。
バリ(burr)は、樹脂やゴム、金属を成形した際に合わせ面のすき間から材料がはみ出して固まった“不要な出っ張り”のこと。
見た目は小さくても、
- 組立精度を狂わせる
- 触れるとケガを招く
- 見栄えを損なう
など、製品価値を大きく下げる要因になります。
ポイント:新人はまず「バリ=品質リスクのサイン」と覚えましょう。
第2話:バリが発生する4つの主因
バリはなぜできるのか? 現場のベテラン技術者が教えてくれました。
- 金型の摩耗・劣化
- 成形条件(温度・圧力・射出速度)の設定ミス
- 型締め不足
- 設計上の問題
ベテラン成形技術者の方が言っていました。
「バリは“金型の精度が落ちてきたサイン”。現場からのメッセージなんだよ」
さらに言うと、このバリはT0やT1と呼ばれる試作段階で発見・対処されることが多い成形不良の一種でもあります。
🔗 参考記事:T0とT1とは?駆け出し営業マンが感じた「専門用語の壁」とその乗り越え方
金型の合わせ精度がどれほどバリに関係するか、わかりやすく書かれています!
第3話:バリを放置するとどうなる?
「ちょっとぐらいなら…」と侮るなかれ。バリがもたらす影響は想像以上に深刻です。
実はバリ取りを怠ると、企業にとって深刻な損失や信用問題に直結することもあるのです。
では、具体的にバリがもたらすリスクとは何か?
代表的なものを挙げてみましょう。
再加工・検査コストの増大
バリが残った製品は、そのままでは出荷できません。
検査で弾かれ、再加工や再検査の手間とコストが発生します。これが積み重なると、製造コストはどんどん膨れ上がります。
返品・クレームによる信用低下
万が一、バリ付きの製品が市場に流れてしまうと、ユーザーからのクレームや返品対応に追われることに。
お客様の信用を取り戻すのは簡単ではありません。取引停止や契約解除につながるケースもゼロではないのです。
勿論、大量のロスや再納品でコストもかさんでしまいます…!
組立ライン停止による生産ロス
なぜ取引停止にまで行ってしまうのか?
実は、製品にバリがあると、組立工程でうまくはまらなかったり、他の部品を傷つけてしまったりすることも。その結果、ラインが止まり、周囲の作業までストップする大損害につながります。
金型 修理費用の高騰
バリの原因が金型の摩耗や破損である場合、修理や交換に多額の費用が発生します。しかも修理期間中は生産ラインも停止。まさにダブルパンチです。
ある案件では、バリが原因で数万個の返品が発生したという話も……。
まさに、「小さなトゲが大きなトラブルを引き起こす」んです。
「バリを放置する=会社の利益を削る行為」
これは製造業における重要な“常識”のひとつです。
現場の技術者はもちろん、営業担当者や設計者も知っておくことで、お客様との会話の質がぐっと上がります。
製造現場を支える全ての人にとって、「バリ対策」は避けて通れないテーマなのです。
第4話:バリとの戦い! ~除去と予防のリアル~
納品前のT0、T1の段階でバリが出てしまったら、現場ではバリ取り作業(デバリング)が始まります。
これがまた、ものすごく手間がかかる。
バリ取りの方法は以下の通りです。
方法 | 特徴 | 適用例 |
---|---|---|
手作業(カッター・ヤスリ) | 初期投資ゼロ/時間コスト大 | 少量試作・複雑形状 |
バレル研磨 | バッチ処理で自動化可能 | 小型部品の量産 |
エアブラスト | ノズル交換で自由度高い | ゴム・樹脂成形品 |
レーザー除去 | 精度◎/設備費大 | 微細バリ・高付加価値品 |
化学的バリ取り(溶剤) | 隅部まで均一処理 | 金属微細加工部品 |
豆知識:バリ取りと一緒にされやすい面取りは「角を丸める」加工の総称で、バリ取り後に行うと安全性と見た目を同時に向上できます。
いずれにせよ時間とコストがかかる作業です。
だからこそ、「バリを出さない設計・工程づくり」がとても重要!
対策としては:
定期点検:ショット数・温度履歴を基に摩耗を予測
合わせ面ラッピング:研磨で面精度を回復
ゲート位置最適化:充填バランスを改善しバリ低減
表面処理:離型性を高めバリ再発を抑制
現場に同行し「いつ・どの部位を金型 修理したか」をログ化すると、次の不具合予測に役立ちます。そのため、MS製作所では膨大な事例や実績をもとに、お客様に「そろそろかな?」とお伺いを立てさせていただきます。
営業マンとして、私は「その設計だとバリが出やすいかも」「ゲート位置を調整すれば、バリは抑えられる可能性があります」「金型の修理計画を立てましょう」といった提案ができるようになりました。
営業という立場でも、専門知識を持つことで、提案の深みが格段に変わる。
それを教えてくれたのが、この“小さなトゲ”だったのです。
第6話:MSプロセシングでバリ発生を抑える
弊社の強みである、岐阜大学との共同研究で生まれた「MSプロセシング」。
クリーニングとピーニング処理によって金型表面が滑らかになり、離型性が高まるだけでなく、面摩耗や汚れによる劣化を防ぐことで、結果的にバリ発生リスクも大幅に低減できます。
新人営業マンの私でも、自信を持ってお客様に提案できる技術です。

まとめ|「バリ」は営業にとっても重要な知識!
「バリ」とは、金型成形時に生じる“不要な出っ張り”
原因は金型の合わせズレ、条件ミス、設計上の問題など
クレーム・返品・安全リスクにもつながる重大な成形不良
T0・T1の試作段階での検出がカギ!
営業職も、現場理解と用語知識で信頼を勝ち取ることができる
「バリって何?」から始まった私の営業人生は、少しずつ深みを増しています。
また新たな言葉に出会ったら、ブログでこっそり報告しますね!