ゴム金型へのメッキ加工|メリットは?|硬質クロムメッキ、無電解ニッケルメッキも解説

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ゴム製品の製造において、金型の品質は製品の仕上がりや生産効率に直結します。
特に、金型の表面処理としてのメッキ加工は、耐久性や金型汚染の軽減に欠かせない要素です。
本記事では、ゴム金型におけるメッキ加工の重要性、各種メッキの特徴と選び方、そして加工時の注意点について詳しく解説します。

ゴム金型におけるメッキ加工のメリット

ゴム金型は、ゴム製品の成形に必要不可欠な部品で、その精度と耐久性が製品の品質を決定づけます。
特に高温や圧力といった過酷な条件での使用が多いため、摩耗や腐食による金型の劣化が課題となります。
さらに離型性も樹脂などに比べても悪いです。
そこで「メッキ加工」が重要視されています。
メッキ加工を施すことで、以下のメリットが得られます。

耐久性の向上

メッキ層が金型表面を保護し、摩耗を防ぎます。
成形する数量が多い場合、耐久性向上の目的のために使われることがあります。
ゴムは金型に引っ付きやすく、金ブラシのようなもので清掃することが多いです。そのため、金型を傷つけてしまう恐れがあります。しかしメッキ加工をすることで、金型を直接傷つけてしまう心配がありません。

メンテナンスの軽減

表面の保護により、腐食を防ぎ、清掃や修理の頻度が減少します。
ゴム金型は成型時にガスが多く発生するため、汚れ付着の防止などに効果があります。

離型性の改善

製品の取り出しがスムーズになり、生産効率が上がります。

ゴム金型の場合、メッキ加工において最も重要視される傾向にあるのは、「耐久性の向上」です。次に「汚れ付着の減少」が挙げられます。
弊社が製作を担当させていただくことが多い、自動車部品のウェザーストリップのゴム金型では、メッキ加工によって離型性が格段にアップするなどという効果はあまり見受けられません。

金型に適しためっき加工法の選び方

弊社で、ゴム金型を制作する場合、主に使用されるメッキ加工は「硬質クロムメッキ(Crメッキ)」、「無電解ニッケルメッキ(Niメッキ)」の2種類となります。

そして、ゴム金型では、「硬質クロムメッキ」は主に使用されることが多いです。
価格に関しては、一般的に、「硬質クロムメッキ」の方が、「無電解ニッケルメッキ」より安価に加工できます。

ゴム金型で最も使用される「硬質クロムメッキ」

硬質クロムメッキは、摩耗が激しい金型や高い耐久性が求められる金型に最適です。
弊社が製作するゴム金型でも、依頼の多いメッキ加工となります。

メリット
  • 高い硬度(約800〜1,000HV)を持ち、耐摩耗性に優れる
  • 優れた耐食性
  • 離型性が向上

ただし、複雑な形状や深い部分、細い溝、穴への均一なめっきが難しい場合があります。

無電解ニッケルメッキ

無電解ニッケルめっきは、電気を使わずに化学反応でニッケル層を形成する方法です。
硬度に関しては、硬質クロムメッキよりも劣ります。

メリット
  • 複雑な形状や深い部分にも均一にメッキが可能
  • 耐食性、離型性も良好
注意事項

硫黄加硫系ゴムを使用する場合、ニッケルめっきを使用した金型を使うと、硫黄とニッケルが反応し、金型汚染が発生するため、成形材料を確認してください。

メッキ加工された金型で注意するポイント

ゴム金型にメッキ加工を施す際には、加工後の寸法変化に留意する必要があります。めっきの厚みが適切でない場合、寸法精度に影響が出る可能性があり、設計通りの寸法を維持するためには、厚みを細かく管理することが必要です。
メッキが金型に加工されることで、メッキ皮膜の厚さが影響し、バリ発生の原因になる可能性がございます。
そのため、金型製作の際は、メッキ加工前とメッキ加工後に金型のすり合わせを行い、設計通りに成形できる金型になっているかを確認いたします。

また、コストと品質のバランスをとることも重要であり、頻繁に金型交換を行わない環境では、耐久性に優れたメッキを行うことが望ましいです。
メッキは金型を使用していくと剝がれていきます。そのため、剝がれる前に再度メッキ加工をすることで、金型の摩耗を防ぐことになります。
最適な管理と維持を行うことで、金型のパフォーマンスが長期間にわたり維持され、コストパフォーマンスも向上します。

まとめ

ゴム金型におけるメッキ加工は、耐久性と精度を強化し、製造コストを抑えるための重要な技術です。使用環境に適しためメッキ加工を施すことで、成形時の摩耗や腐食の影響を最小限に抑え、安定した製品品質が確保されます。

製造業界では、金型の長寿命化と高精度化が製品競争力の強化に直結するため、最適なメッキ加工技術の選択と実装がますます重要になるでしょう。

ゴム金型を製作する弊社、株式会社エムエス製作所は、ゴム金型の製作を請け負っております。
メッキ加工についても対応可能で、ご希望に応じてメッキ処理を施し、納入させていただきます。
ゴム金型でお困りの場合は、お気軽にお問い合わせください。

参考文献

横山督 (1985)「金型汚染のメカニズム」 日本ゴム協会誌 第58巻 第6号
池田潔、 奥野峰樹、湯川晃宏、角田和成、 山ロ幸一 (1992)「PTFE含有ニ ッケル及びクロムめっきを用
いた金型汚染の評価」日本 ゴム協会誌 第65巻 第11号
中尾英弘(2000)「無電解ニッケル-PTFE複合めっきの耐摩耗性」表面技術 Vol.51, No.11
眞保良吉(2014)「硬質クロムめっきの特性」表面技術 Vol.65, No.3
西川賢一(2015)「無電解Ni-P/PTFE」複合めっき」表面技術 Vol.66,No.11

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