1. はじめに:ゴム金型とアンダーカットの概要
ゴム金型製造において、アンダーカットは重要な課題の一つです。
アンダーカットとは、金型から成形品を取り出す際に、そのまま取り出すことのできない凹凸部分などの形状を指します。ゴム製品だけではなく、プラスチック製品にもある場合がございます。この記事では、ゴム金型のアンダーカットの課題と対策について、解説していきます。
2. アンダーカットの定義
アンダーカットは、金型から製品を抜く方向に対して、成形品を取り出そうとした際に、取り出すのに障害となる部分です。
こちらの写真の場合、本来であれば上方向にゴム製品を引っ張り、金型から外します。しかし、赤線で囲まれた部分があると、上に引っ張っても、赤線部分が金型に引っかかるため、抜けません。
このように障害となる部分をアンダーカットと呼びます。
アンダーカットの形状に関しては、成形する製品ごとに異なります。
複雑な形状を作り出す際にアンダーカットが発生しやすくなります。
3. ゴム金型におけるアンダーカットの課題
ゴム製品は多くの場合、金型からゴム成形品を外す場合は、手作業が多いです。
アンダーカットがあるゴム製品の成形には、以下のような課題があります:
- ゴム成形品の取り出しが面倒になる
- 金型設計の複雑化
- 製造コストの増加
アンダーカットは、金型から成形品を簡単に外すことを邪魔する形状なので、存在することでゴム金型の設計・製造、ゴム成形に関してコストがかかります。
ゴム製品は樹脂製品とは違い、弾性があるため、金型からの取り外しが容易ではありません。さらにアンダーカットがあるとなおさら取り出しが難しくなります。
手で金型からゴム成形品を抜き取りやすくするために、成形後の金型を開く際の構造が複雑になっていきます。
4. ゴム金型のアンダーカット対策の技術
ゴム金型におけるアンダーカット対策として、以下の技術が用いられています:
スライド構造
金型内でアンダーカット形状を分割し、型開き方向とは異なる方向にスライドさせる方法です。
分割金型
複雑な形状に対応するため、金型を複数のパーツに分割する方法です。
離型剤・表面処理の採用
金型へ離型剤を塗布したり、あらかじめ金型に離型性向上を目的とした表面処理を施すことで、アンダーカットがある製品でも取り出しやすくする方法です。
5. おわりに
凹凸のあるゴム部品や突起のある製品などでは、アンダーカットが避けられない問題となることが多いです。
そのため、アンダーカットがある中で、離型しやすい金型設計はとても重要です。
私たち株式会社エムエス製作所は、アンダーカットがあるウェザーストリップやガラスランなどのゴム成形品を作る金型を作ってまいりました。
アンダーカットがあるゴム製品でも、金型から離型しやすい設計のご提案から製造まで多数の実績がございます。
ゴム金型でお困りのことがありましたら、お気軽にお問い合わせください。